「選ばれる収納」とは何か・・・

― 片づけやすい家をつくるための収納設計の考え方 ―


■ はじめに:収納は「量」より「仕組み」で決まる

家づくりでよく聞く後悔の声に、

  • 収納が足りなかった
  • 使いにくい場所に収納を作ってしまった
  • 結局、床にモノが置かれてしまう

というものがあります。

しかし実は、収納の満足度は “量”ではなく“仕組み” で決まります。
どれだけ大きな収納を作っても、動線に合っていなければ使われません。
逆に、コンパクトでも「使う場所の近く」にあれば、驚くほど片づけがラクになります。

この記事では、
「選ばれる収納とは何か?」
を、暮らしの動線・心理・実例を交えながらわかりやすく解説します。



■ 1. 収納は“動線”で決まる


収納計画の最重要ポイントは「どこで使うか」

収納の失敗は、ほとんどが 動線と収納の位置がズレていること から起こります。

● 例:玄関が散らかる家

原因は「靴以外のモノの置き場所がない」こと。
・傘
・子どもの習い事バッグ
・アウトドア用品
・ベビーカー
・防災グッズ

これらの“玄関で使うもの”の収納がないと、床置きが増えて散らかります。

● 例:キッチンがごちゃつく家

原因は「ストック品の定位置がない」こと。
・食品
・日用品
・ゴミ袋
・調理家電

これらがキッチンに入りきらず、カウンターに出しっぱなしになります。



■ 2. “使う場所の近く”に収納を置くと片づけがラクになる


収納は「動作の最短距離」に置くのが正解

片づけが苦手な人でも続けられる収納は、
「戻す動作が1〜2アクションで完結する」 という特徴があります。

● 例:洗濯動線

洗う → 干す → しまう
この流れがバラバラだと、毎日が大変になります。

理想は、

  • 洗濯機の近くにタオル収納
  • 干す場所の近くにハンガー収納
  • しまう場所も同じ動線上

こうすると、
歩く距離”が減り、家事が圧倒的にラクになります。



■ 3. 収納は「種類」で考えると失敗しない


収納には大きく分けて3種類あります。

● ① 見せる収納(オープン収納)

メリット:取り出しやすい、戻しやすい
デメリット:生活感が出やすい
用途:パントリー、子ども用品、ワークスペース

● ② 隠す収納(扉付き収納)

メリット:生活感を隠せる、スッキリ見える
デメリット:戻す動作が増える
用途:リビング、玄関、寝室

● ③ しまい込む収納(クローゼット・納戸)

メリット:大容量、季節物の管理に最適
デメリット:奥がデッドスペースになりやすい
用途:衣類、布団、季節家電

この3つを 場所ごとにバランスよく組み合わせる ことが、
“選ばれる収納”の基本です。



■ 4. 収納の“高さ・奥行き・幅”を間違えると使いにくくなる


収納は「サイズ設計」が9割

収納の寸法は、実はとても重要です。

● 奥行き

  • 30cm:日用品・食品ストックに最適
  • 45cm:衣類や家電に向いている
  • 60cm:布団や大型家電向け

奥行きが深すぎると、
「奥のものが行方不明になる」 という問題が起きます。

● 高さ

  • 子どもが使う収納は“目線より下”
  • 大人が使う収納は“胸〜目線の高さ”がベスト

高さが合わないと、
「届かない」「しゃがむのが面倒」 となり、使われなくなります。



■ 5. 収納は“家族の性格”に合わせると成功する


収納は、実は心理学とも深く関係しています。

● 片づけが苦手な人

→ 扉を開けるのが面倒
→ オープン収納やカゴ収納が向いている

● きっちり整理したい人

→ 扉付き収納や引き出し収納が向いている

● 子ども

→ 戻す動作が1アクションで完結する収納が必要
(例:投げ込むだけのカゴ収納)

家族の性格に合わせると、
「片づけやすい家」ではなく「勝手に片づく家」 になります。



■ 6. 収納は“家の価値”を左右する


収納が整っている家は、

  • 生活感が出にくい
  • モデルハウスのような状態を維持しやすい
  • 将来の売却時にも評価されやすい

という特徴があります。

つまり収納は、
“見えない資産” と言えます。



■ まとめ:収納は「後回し」にしないほうがいい


選ばれる収納とは、

  • 動線に合っている
  • 使う場所の近くにある
  • 種類が適切に組み合わされている
  • サイズが暮らしに合っている
  • 家族の性格にフィットしている

という、暮らしに寄り添った収納です。

収納は「ただの棚」ではなく、
家族の暮らし方そのものを支える仕組みです。


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